カンキセン

星屑ロンリネス

毛玉女


わたしは服の管理というものがあんまりできない人なので、夏の服は襟元が伸びているし、冬の服はたくさんの毛玉がコロニーを作っています。
特にひどいのはタイツで、それはたぶん頻繁に視界に入ると慣れみたいなものによって毛玉を毛玉と認識しなくなってしまうが故のことだと思うんだけど、ある日ふと「あれ?なんかすごく毛玉ついてる!」と気がついたときには、それはそれはもう、えらいかわいそうなタイツへと変貌を遂げています。アハ体験です。
しかしこないだ大都会シンジュクで昇りエスカレーターに乗ったときに、前に立っている女性の黒いタイツ足をなんとなく見て気がついたんだけど、街ゆく女性たち、ぜんぜん毛玉ついてない。タイツに限らず、セーターも、カーディガンも、ニットの帽子も、コートも、みんな毛玉がついていないのです。気持ち悪いと思われるかもしれないけど、その時はよーく見たので間違いないのだよ。シンジュクを歩く女性の服には毛玉がついていないのです。
彼女たちは、いつ、どのようにして毛玉に気がついてそれを取り除く作業をするのだろう。ていうか爪も髪もそんなきれいにしてて、毛玉をとることもできるってパーフェクトガールなの?それとも最初から毛玉なんてできないような服を買って着ているのかな。でも、シンジュクの服屋さんをうろうろしててお店の人が「これよく売れてるんですよ〜」といって指し示したセーターは、わたしが着たら一回で毛玉だらけになりそうだな…(と思って買えなかった)という感じの触り心地だったので、まちを歩く女性はそういうのを買っているはずなんだ。なのに。どうして。なぜみんな毛玉ついてないの。みんないつ毛玉に気がつくの。
おしゃれは我慢、とかじゃなくて、いかに毛玉に気づくか、というところなんじゃないの。わたしも毛玉に気がつきたい!

毛玉つけてこれからおでんを食べに行きます。さよならシンジュクガール。